相続税対策の基本となる生前贈与。年間110万円までの非課税枠を活用すれば、計画的に財産を移転できます。制度の仕組みと注意点を解説します。
生前贈与の基本
生前贈与とは、生きているうちに財産を家族に渡すことです。贈与税の基礎控除110万円を活用すれば、毎年110万円まで非課税で贈与できます。
例えば、子ども2人に毎年110万円ずつ10年間贈与すると、合計2,200万円を非課税で移転できます。
2つの贈与制度
| 制度 | 暦年贈与 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 非課税枠 | 年間110万円 | 累計2,500万円 |
| 対象 | 誰でも | 60歳以上の親→18歳以上の子・孫 |
| 相続時 | 3年以内の贈与は持ち戻し | 全額持ち戻し(税額控除あり) |
| 申告 | 110万円以下なら不要 | 金額に関わらず必要 |
注意すべきポイント
- 名義預金に注意 — 子名義の口座に入金しても、子が自由に使えなければ贈与とみなされない
- 毎年同額はリスク — 定期贈与と見なされる可能性。金額を変える・契約書を作る
- 持ち戻し — 死亡前3年以内(2024年以降は段階的に7年に延長)の贈与は相続財産に加算
実践的なやり方
- 贈与契約書を毎年作成する
- 銀行振込で記録を残す(現金手渡しは避ける)
- 受贈者が管理する口座に入金する
- 111万円贈与して1,000円の贈与税を払い、記録を残す方法も有効
よくある質問(FAQ)
孫にも110万円贈与できる?
はい。孫も贈与の対象です。子と孫に同時に贈与すれば、より多くの財産を移転できます。
贈与税の申告はいつ?
贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日に受贈者が申告します。110万円以下なら申告不要です。
まとめ
生前贈与は相続税対策の基本。年間110万円の非課税枠を計画的に活用し、贈与契約書と振込記録でエビデンスを残しましょう。
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【2024〜2026年税制改正】生前贈与加算「3年→7年」延長の重要ルール
2024年1月1日以降の贈与から、相続開始前の生前贈与加算期間が従来の3年から「7年」へと段階的に延長されました。これにより、駆け込みでの生前贈与による節税効果が大幅に制限されています。
| 区分 | 改正前(2023年まで) | 改正後(2024年以降順次) | ポイント |
|---|---|---|---|
| 加算対象期間 | 相続前3年以内 | 相続前7年以内(段階的延長) | 早期の贈与開始が必須 |
| 加算時の控除枠 | なし(全額加算) | 過去4年分は計100万円まで控除 | 延長された4年分に軽減措置あり |
| 精算課税の新制度 | 基礎控除なし | 毎年110万円の基礎控除が新設 | 申告不要・相続時持ち戻しなし |
「暦年課税」vs「相続時精算課税」どっちを選ぶべき?損益分岐点
税制改正により、「相続時精算課税制度」にも年間110万円までの基礎控除(持ち戻し対象外)が新設されたため、親の年齢や資産規模によって有利な選択肢が変わります。
暦年贈与が向いている人
- 親がまだ60代〜70代前半で元気(贈与期間が7年以上取れる)
- 孫や子の配偶者など「法定相続人以外」に贈与したい(加算ルールの対象外)
- 少額を10年〜15年以上かけてコツコツ渡したい
相続時精算課税が向いている人
- 親が75歳以上・高齢で7年の期間を確保しにくい
- 将来値上がりが確実な不動産や株式を一括贈与したい
- 収益物件(アパート等)を早期に子へ渡し、家賃収入を親の財産から逃がしたい
税務調査で「名義預金」と疑われないための3大対策
親が子どもの名義で口座を作り、そこにお金を振り込んでいただけの場合、税務署から「名義預金(親の財産)」とみなされ、相続時に追徴課税されます。必ず以下の3点を徹底しましょう。
- 贈与契約書を作成・保管する:毎年、贈与者と受贈者の実印または自筆署名で契約書を作成します。
- 受贈者本人名義の口座へ振込送金する:手渡しではなく、通帳に振込履歴(エビデンス)を残します。
- 受贈者本人が口座を管理・使用する:印鑑や通帳・キャッシュカードは子ども本人が所持・管理している必要があります。
生前贈与に関するよくある質問(FAQ)
Q. 孫への贈与も7年以内の持ち戻し対象になりますか?
A. 原則として、相続人でない「孫」や「子の配偶者」への贈与は持ち戻し加算の対象外です。ただし、遺言書で孫に遺贈する場合や、生命保険金の受取人に指定されている場合は相続人扱いとなり、加算対象となるため注意が必要です。
Q. 年間110万円ちょうどなら贈与税の申告書提出は不要ですか?
A. 暦年贈与の場合、1年間の受贈額が110万円以下であれば税務署への申告義務はありません。ただし、あえて111万円を贈与して1,000円の贈与税を申告・納税することで、客観的な贈与の証明(税務署の受領印)を残すテクニックも広く用いられています。
